【メモ】ヒューマンオーグメンテーション学 セミナー「存在の拡張」に行ってきた
のでメモだけ公開します。
そのうち公式でレポートが公開されると思うので、そちらをご覧ください。
過去にはこんな講演もやってます(こっちは割と真面目に書いてます)
ヒューマンオーグメンテーション学(ソニー寄付講座)
第4回セミナー「存在の拡張」
第4回セミナーのテーマは「存在の拡張」.これまで「知覚の拡張」・「身体能力の拡張」というテーマでセミナーを行ってきました.今回は存在の拡張をテーマとし,いかにして存在を拡張するかを特集します.
招待講演として名古屋大学戸田智基先生,東京大学鳴海拓志先生をお迎えし,音声信号処理やVR技術などの研究を通して,いかにして存在を拡張するか,どのような存在の拡張があり得るのかなど,基礎的な技術や知見から応用まで幅広く議論します.
戸田智基先生パート「音声変換による発声機能の拡張」
自己紹介
- 音声変換自体は1990年代くらいから研究が始まる
- 1998年〜名古屋大、基本性能の改善
- 2003年〜学振PD応用技術の開拓
- 2005年〜音声変換を使いやすくするための柔軟性の改善
- 2011年〜音声生成機能拡張
- 2015年〜教授、チャレンジなど
戸田研究室
名古屋大学 大学院 情報学研究科 戸田研究室 | 音メディア情報処理で新たな未来を切り拓く
音声変換とは?
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コミュニケーションにおいて存在を拡張するには、ロボットやアバターのように見た目を変えるだけではなく、声も変えることが重要
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なんの役にたつか?
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内容はそのままに発話者や発話様式を所望の形に変えらる
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非言語的な情報、感情など
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物理的な制約を超えられる、物理的には出せない声も出せる
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どう実現するか?
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信号処理+変換処理=音声変換の実現
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リアルタイム音声変換デモ
- 声の高さ、周波数軸(体、声道を太くしたり細くしたり)、性別を変えられる。
別の人の声にはできるが、誰かの声にするのは難しい
機械学習で、変換のための関数を作る。リアルタイム統計的音声変換デモ。
今日はリカちゃんの声になるデモも披露。
初音ミクの声になるデモ
リアルタイムで歌声、しゃべり声を初音ミクの声にできる。すごいw pic.twitter.com/gdYHlD7UlC
— なるみ (@narumin) November 29, 2018
音声生成機能の拡張へ
物理的制約を超えて音声生成機能の獲得
- イメージする声を具現化できる
身体的制約を超える表現獲得
若返った声、年老いた歌声 - 失った声を取り戻る
発声障害者の音声を自然な音声へ
イントネーションをつけてやったり - 声を出さずに会話する
さらに発生者の協力的動作を活用した共創的音声
1 ボイチェン、ボーカルフィルター
- 協力的動作として裏声歌唱を活用
- 音高維持型歌声変換システム
- 特定キャラクターの歌声と同一の音高で歌唱した歌声を活用
- 基本周波数の変換処理を回避することで高品質な変換処理
- 裏声による歌声を変換システム
2 喉頭摘出者に対する発生支援、歌唱支援システム
3 サイレント音声通話
拡張;周囲に聞こえないくらい小さな体内電動音声(非可聴)をより自然な音声に変換
まとめ
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外観がロボットやアバターで拡張できるのに対して、音声も変えなきゃ!
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危険性
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なりすましを助長
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変換音声自動検出技術[Wu 15]と変換技術はいたちごっこ
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音声変換技術普及に向け、正しい社会的認知を得ることが重要
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音声変換技術の有用性をアピール
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生活に欠かせない応用技術の構築
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自分の音声を利用されることに対して報酬を与える仕組みの構築
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技術レベル及び危険性の周知
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音声変換技術を包丁のようなものとして認めてもらう
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スライド
- そのほかにも様々なスライドが下記で公開中
研究紹介 | 名古屋大学 大学院 情報学研究科 戸田研究室
鳴海拓志先生パート「身体拡張から心をデザインする」
感覚のデザイン
Unlimited Corridor
曲がった壁を「触りながら」映像を曲げてやると、半径6メートルでまっすぐ歩いた感覚を得られる
拡張満腹感
見た目を小さくすることで満腹感をコントロールできる
拡張満腹感:テーブル型
- でも普通食事の時はHMDつけないよねwって言われて悔しい
- テーブルにプロジェクションマッピングした
環境を変えるのと自己を変えるのは実は同じ?
- 環境と自己は不分離、感覚で得られたものから自己が形作られる
- エルンスト・マッハの自画像
身体と自己のデザイン
ラバーハンドイリュージョン
- こうした身体拡張感覚があるから、道具をうまく使える
- 道具をうまく使えるために動的に身体を変える
えくす手
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身体拡張の範囲を探る
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見た目より動きの一致が重要
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見た目は二倍程度なら身体のように扱えるが四倍に変形すると厳しい
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視覚だけでなく触覚との同期刺激があるとより
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例
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自分が何者だと思うかでパフォーマンスが変わる
ドラムの実験
ドラムを叩く時、アフロでラフな格好をしたアバターを着ている方が
スーツのかっちりしたアバターを着ている時よりも身体を大きく揺らしてリズミカルに振る舞う。
自尊心の低い人がアインシュタインのアバターを使うと認知課題の成績が向上
身体とゴーストの関係
ゴーストサイエンス / ゴーストエンジニアリング
- ゴーストサイエンス
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スーパーヒーロー実験
VRでスーパーヒーロー体験をした後だと、人は通常より人を助けやすくなる。
人種差別軽減
https://doi.org/10.1016/j.concog.2013.04.016
扇情的な鏡:表情変形(視覚)による情動の操作
自分の表情を笑顔にして表示してあげることで、ポジティブな感情を誘起
自身の表情の擬似的変化をFBすることで快不快を操作
感情が先か、身体が先か
- ×悲しいから泣く
- ○泣くから悲しい
ゴーストの変化による創造性の向上(SmartFace)
ゴーストエンジニアリング
- 身体の再デザインによる心と認知のデザイン
- 変身と分身
- 心と上手に付き合うための技術
- 身体が心・自己を作る
- FaceRig
- 講演をバーチャル女子でやるとみんな優しくなる
- ブーム
- VTuber、VRChat
- ソーシャルタッチ
分身による同調圧低減
認知バイアスの一種である同調圧力を分身の力で低減できないか検討
12月に開催されるHAI 2018で「分身」をテーマにした研究を発表します。ビデオチャットにおいて、少数派の人数を多数派の人数と同数に見せかけることで、人数の不一致によって生じる同調圧力などのバイアスを取り除こうという研究です。@osushi_jiro の研究です。https://t.co/fdfYJnzS6e pic.twitter.com/QdnkYS5IcM
— Shigeo YOSHIDA (@shigeodayo) November 8, 2018
二重人殻
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#東大制作展 に、ドッペルゲンガーとインタラクションをする体験を展示しています。
— ゆうのLv3 / Yuji Hatada (@yunoLv3) November 15, 2018
タイトルは
「#二重人殻 / Double Shellf」
分身能力を手にして、どうしようもなく堅牢な我々のこの「一人称」が壊された時、人類の眼差しと自己愛の行方はどうなるでしょう。#iiiEx pic.twitter.com/wkemEINM5xこれは……。 pic.twitter.com/rcN7QBaxBC
— ゆうのLv3 / Yuji Hatada (@yunoLv3) November 29, 2018
まとめ
- 身体という普段意識しない存在は、実はあらゆる意味で世界の物差しとして機能している
- 身体のあり方を変えると基準が変わり、無意識に知覚行動認知に様々な変化が現れる
この効果は現実においてもバーチャル世界においても無視できないレベルである- こうした影響を踏まえて自分という存在をデザインし、柔軟な知性と心を獲得できるようにすることは未知の領域、技術者だけでなくデザイナーやアーティストなど多様な分野の力が必要になるだろう
石黒祥生先生パート
身体の拡張
AugmentedJump
存在の拡張
JackIn Space
認知の拡張
ChameleonMask
ChameleonMask from rkmtlab on Vimeo.