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@yunoLv3

リアルとバーチャルが融け合う夏 (2)バーチャル空間のアート展編

 

どうも、ゆうのLv3です。

最近「リアルとバーチャルが融け合ってる事案」がたくさんありました。

  1. VR学会・ギラギラ夏祭り
  2. VRChatアート展覧会「1%の仮想」←本記事
  3. VRC Virtual Festival 2018 #バチャフェス

ので、あれこれ備忘録っておこうと筆をとった次第。

第一弾の記事「VR学会編」はこちら

 

本記事では、2018年9月22・23日にVRChat内で行われた、ヨツミフレームさんのメディアアート展覧会「1%の仮想」について。VRChatって何?どうやって出来るの?とかいう情報は、末尾に付録として書きました。知らない人は参考にしてください。

 「動画で見たい!」という人は後半にYoutube Live情報を載せているので、そちらをチェックしてください。

 

 

 

 

 メディアアート展覧会「1%の仮想」

 

僕も似たようなことしたいな〜と思っていたところ、ガチ勢のはいえろさんに教えてもらいました。

来ました。(入り口の表記が仮想じゃなくて「本質」になってた。後から直された?正式名称は1%の仮想っぽい。展覧会を見る前と後でここの表記が変わっているそうです!!!

入って最初に目にするもの、これは狭義の展示物ではないのだけれど、「文字が壁に書かれている感じ」があまりに生々しくて、フィジカル美術館に来た感覚が強烈に想起されました。ライティングの業なのだろうか。文字が壁を、壁が文字を引き立たせている気がする。

空間は「ホワイトボックス」と呼ばれるタイプ。僕はあまり詳しくないのだけれど、近代以降の美術作品の展示空間では、作品を自立的に・中立的に扱うために、極力装飾や表情を持たない真っさらな空間が好まれるようになったのだとか。近代以降の我々からしてみれば、こういう白い館に来たら美術館の記憶が想起されるので、自然と「鑑賞するぞ」という気持ちになるのですね。

バーチャル空間で建築的な試みをあれこれやっている番匠カンナさんのノートも参考にしてみてください。

ピクトグラムや注意書きの書式もなんとリアルなことか。テキストデザインだけで空間全体のプレゼンスを高められるとは……。

製作者・主催・アーティストのヨツミフレームさん。

 

展示後、ヨツミフレームさん本人が書いた記事も公開されています。(技術的な話はまた後日とのこと)

 

作品紹介

スタック・オーバー・苦労

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ハンバーガーやN重の塔を自分の手で積み上げて作れる体験型展示。

バーチャル環境で人は、掴める(grabbable)オブジェクトを見るとついつい手に取りたくなってしまいます(やれば分かりますが、現在のバーチャル環境で遊ばせると、人類の多くは幼児退行します。)。手に取ったものは、積み上げたくなる。その性質を利用して「積み上げたくなる」オブジェクトを用意してくれていました。

ハンバーガーはパーツを積み上げると自動で名前を判定して表示してくれるんです……芸が細かい……。

 

 Step-by-Step by Step

    

床にある足跡。

そこにプレイヤーが立つと現実では起こりえない体験が生じる。写真は、そこに立った時だけ異世界(ヨツミフレームさんが製作した別のワールド)を覗き見れるというもの。そこに立って居ない他の人には見えない。

 

 VTuber Particle

VRと相性がいいと言われている情報可視化の一例。

「バーチャル」・「VTuber」の単語が含まれるYoutubeチャンネルの内、上位512個のチャンネル登録者数とアイコン色をパーティクル可視化。上位5チャンネルは星型で表示しています。一番おっきいのはキズナアイなんだろうな。

 

距離のリアル

(画像:https://twitter.com/kohack_v/status/1044235303727194113より)

来場者のIPアドレスからインターネットプロバイダの位置を取得して、体験者との相対的な距離感を可視化している作品。リアルでは何百kmと離れている人も「ここ」にはいると意識させられます。

あなたがバーチャル空間で感じる「距離」は、この作品よりも近いですか?

 

 現実世界終末時計 Dreamsday Clock

 「VRChatにログインしている人口」÷「世界人口」を、0:00から23:59で表現している時計。2018年9月22日21時の時点では、世界人口76億人に対してVRChat人口は6000人程度(インターネットから情報を常に取得しているので、リアルタイムに時刻が変わります)。 「VRChatにログインしている人口」÷「世界人口」は、当然限りなくゼロに近く、終末時計は0時0分X秒を指していました。

まだまだ長い道のりですが、この時計が23時59分59秒を超える(全人類がVR空間に没入する)とき、仮想現実は人類にとっての新たな現実へと変化することになるのです。 

 

1%の仮想 ハイパースマートスピーカー

一方でこんなコーナーもありました。

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そこに展示されていたのは、ハイパースマートスピーカー

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このスマートスピーカーは、「神託」集積回路を実装してあるから、あらゆる質問に答えることができる最強のスピーカー!

……ただし、これには1%の仮想現実が混ざっているばっかりに、我々のフィジカルワールドには存在することができない。

でも、それは本質的なことでしょうか?

 

 VRC_WebPanel

VRChatではかつて、「WebPanel」というコンポーネントを使って、みんなが色んなものを作っていました。Webから情報をとってこれるパネルということで、動画を流したり時計を作ったりアレコレ表示したり……

と日本人らしい百花繚乱(百鬼夜行)のクリエイティブ作品が見られていたのですが、2018年8月某日、WebPanelはセキュリティ上の都合(?)でVRChatからお亡くなりになりました……。ヨツミフレームさんも被害を受けている様子がキャプションから読み取れますね。(追悼式の様子はV-TVさんでも報道されています。)

 

 1%の本質

この展示会は、実際には存在しません。私たちはHMDやディスプレイから浴びせられる色とりどりの光を見て「私たちはここにいる」と錯覚しています。この展示会を通じて“Virtual”(仮想)とはなにか、“Virtual”(本質)とはなにかをなんとなく感じてもらえたのであれば幸いです。 

 

展示の前に立つと、VRモードプレイ時にメニューボタン押すと出て来るワールド(ゲーム起動時やポーズ時に入るワールド)が現れます。

バーチャル空間で行われている展示会の中で、いきなり今まで見て来たものを全てなかったことにするかのような演出。さながら「今までのは全部夢でした〜」と言わんばかりのギミックにドキッとさせられます。決して嘘じゃないものが、「自分は嘘かもしれないね……」って儚げに笑ってくる感じ。

 グッズ売り場

展示会の出口付近には、ヨツミフレームさんが作られたアセットなどがQRコードとともに置かれていました。このQRコードを読み込めば、すぐにこのアセットを入手できるという優れもの。

 

 

バーチャル空間ならでは

バーチャル空間での展示として、色々「ならでは」なことがありました。

空間演出を始め、何から何までアーティストの手によるもの

今回の会場は、ワールド作成までヨツミフレームさんがやっています。フィジカルに美術館を一つ建てるのは大変かもしれないけれど、バーチャル空間なら。

会場も自分で作って良いとなると、作品の置き方、コース、会場に仕掛けたギミック、展示物に特化した会場作りなどなどが出来るわけで、会場自体が一つの作品になり得ます。

インタラクティブな作品作り 

  • 例えば参加者が作品ごと持ち去って会場内の好きな場所に置けたり……。
  • 時間によって展示物の姿が変わったり
  • 一周目と二周目では様子が違ったり
  • 来場者自身が展示物になったり
  • ……
フィジカルには難しい仕掛け
  • そこに立った人だけが完全な異世界を覗き見ることができるスポット
  • 体験しているデバイスVRヘッドセットか、デスクトップか)によって見え方が違う作品
  • ……

バーチャル空間ならではの問いかけ
  • 人類とVRの関わりの未来を想像させる「現実世界終末時計 Dreamsday Clock」
  • フィジカルには作れないものもバーチャルになら実現できる、と嘲笑うかのような「ハイパースマートスピーカー

  • バーチャル空間からフィジカルな距離を意識させる「距離のリアル」
  • この展覧会は「現実にはない」とあえて言い切る「1%の本質」
  • ……

 

どれもエモすぎて、初回にして至高という感じがしてしまいます……。これを超えていかなければ……。 

最近マクルーハンのメディア論を読み始めました。新しいメディアは新しい知覚習慣を引き起こす。メディア(技術)はメッセージである。VR技術を手に我々は、どこへ向かっていくのか、未来が楽しみで仕方ないですね。

 

Youtube Live情報

失禁研究会の亀岡くんと、Gree VR Studio Labの白井先生が会場内を見て回ったYoutube Liveが残っています。

 

また、この「1%の仮想」 展、おきゅたんbotさんが10月4日に体験取材をするそうです。見れなかった人はこちらをチェック!

  

 

付録 VRChatとは? 

VRのソーシャルサービスといえば、マイクロソフトに買収された『Altspace』、Oculusが出している最強に手軽な『Oculus Rooms』や『Facebook Spaces』、PSVRでもできる『Rec Room』、PC画面の共有ができる『Bigscreen』や登壇形式のイベントにぴったりの『cluster』など、色々あります。

VRChatの魅力

そんな中にあって、VRChatの大きな魅力は「ユーザがカスタマイズできる要素が多い!」という点。

とってもいい動画を見つけました。VRChatの魅力が伝わってきます。

 

そしてVRChatには日本語Wikiもあります。

 

自作アバター

例えばBlenderなどの3DCGソフトを使って、自分のアバターを自分で作ることができたり

自作スキル

アバターにエフェクトを仕込むことで、こんなライブを実現する猛者も現れています。

 

 

自作ワールド

Unityを使って自分でワールドを作れたり、そこに好きなギミックを実装したり

 

その自由度の高さは、ユーザ・ジェネレーテッド・コンテンツ(ユーザがそのプラットフォームの上で、自分たちで好き勝手にコンテンツを生み出していく)を地でゆくもの。

これまで行われてきたイベント

既に現実と見まごう激アツなイベントが、VRChatでたくさん催されてきました。